御 礼 の 言 葉

 この度、はからずも秋の叙勲に際し、スポーツ振興の功労により「旭日双光章」受章の栄に浴したところ、アマスポーツ・プロスポーツ・生涯スポーツ・さらに健康づくりに日本を代表する方々が、私の為に発起人としてこの様に盛大な祝賀の会を開いて頂きましたことは感謝の極みであります。 改めて心より御礼申し上げます。 またご出席頂いた多くの先輩・友人・スポーツを愛し、文化を愛し、国を愛する同志ともいえる方々に心より御礼申し上げます。
 本日で私76歳の齢を重ねましたが、今日迄大過なく歩んでこられたのはこれ等の方々の暖かいご理解とご支援によることを肝に銘じると共に、スポーツとの出会いが私を今日迄導いてくれたものと確信している次第です。 顧りみれば第二次大戦後、私が初めての中学生になった頃の世相は暗く、軍国日本の崩壊により本来の日本の価値観は全て否定され、多くの人達は最低限の衣食住の確保を求めてさまにった時代でしたが、その時に煌めく一筋の光が我々にさしこんで来たのが古橋広之進選手の圧倒的な世界記録の数々でした。 このことがきっかけで、日本人に失われかけていた誇りと気概を取り戻せたといっても過言ではありません。 また敗戦国の日本人が、戦勝国の大男のアメリカ人を叩きのめす力道山のプロレスにどれだけ国民大衆が熱狂したことでしょうか。 さらに戦後の日本が総力を結集して成功させた昭和39年の東京オリンピックが、その後の日本の高度成長に連動して世界に躍進していったことは今更私が言うまでもありません。
 いずれにしても、スポーツというあくまで個人的な行為が人々の生活と行動に深い影響を与え、時には大きなうねりとなって時代を創ることを実感して参りました。 私は一流選手でも学者でもありませんが、スポーツが如何に人間の肉体と精神に健やかさと希望と勇気を与え、同時に国家や社会に活力と輝きを与えることを知るものの一人です。
 終わりに強者は益々強く、しかし弱者にも目を注ぎ共にスポーツを愛し、生きる喜びを享有するスポーツ文化の発展にこれからも活動してゆくことを終生の念願とする次第です。
 本日は皆様、本当に有難うございました。
          
平成21年2月5日

玉 利   齊